結膜炎
結膜炎は眼科医が診る眼科の病気の中で最も多いものです。それだけに一般的にあまり注意を払われる事はないのですが、時には重症となる事もありますので、結膜炎に関する正しい知識を持つことが重要です。
結膜炎の仕組みとその特徴
結膜には通常黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌などが常在していて、これをフローラといいます。何らかの理由で結膜が障害されて、これらの細菌により感染が起こったのが細菌性結膜炎であり、結膜充血し、眼脂が多く認められます。細菌性結膜炎の特徴は充血の色がオレンジ系の赤色を呈する事でこれがウイルス性結膜炎と異なっています。また流涙はそれほど著明ではありません。有効な点眼薬(抗生物質、ステロイド剤などの炎症を抑える点眼薬)を使用する事により、比較的短期間で症状は改善しますが、他人への感染は起こるので注意が必要です。
ウイルス性結膜炎
ウイルスは 細菌よりもさらに小さな微生物です。結膜炎を起こすウイルスは数多くのタイプがあります。ウイルス性結膜炎の主症状は 結膜の充血ですがその色は細菌性結膜炎の赤色とことなり、鮮やかなピンク色を呈する事が多いです。眼瞼腫脹、異物感が強く、流涙などがおもな症状です。また、耳前リンパ節の腫脹が認められます。これは、ウイルス感染に対するリンパの免疫機能が働いている事を示し、ウイルス性結膜炎に特徴的です。ウイルスを効果的に排除する薬はありません。このため、ウイルス感染後の細菌による2次感染を防ぐために、ステロイド剤などの炎症を抑える点眼薬や、抗生物質の点眼などを使用します。結膜炎を起こすウイルスの中には、感染力が非常に強いものがあります。ウイルス性結膜炎にかかったら、自分の症状に注意を払う事は重要ですが、同時に周囲に感染させないように、注意してする事も同様に重要です。
流行性角結膜炎(Epidemic Kertoconjunctivitis, EKC)
アデノウイルス8型という感染力の強いウイルスが原因で、一般に「はやり目」と呼ばれています。ウイルスに感染して約1週間の潜伏期間を経て発病します。他のウイルス性結膜炎よりも結膜の症状は強く、通常は発病後10日位で症状は改善します。
結膜炎が治りかける頃に、角膜に点状の小さな濁り(点状角膜炎)が出現する事があります。これは自然に消失する事が殆どですが、まれに角膜全体に角膜混濁が残る事があります。
咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルス3型(ほかに7型など)の感染で起こるものをいいます。夏場にプールの水を介して子どもに感染することがよくあるので、「プール熱」とも呼ばれています。ウイルスに感染してから発病まで5~7日の潜伏期間があります。発病から10日ほどでよくなってきます。治療法は流行性角結膜炎と同じです。
急性出血性結膜炎(Acute hemorrhagic conjunctivitis, AHC)
潜伏期間が約1日と短いことと、鮮やかな結膜下出血を起こすのが特徴の結膜炎です。発病後1週間程度で治ります。この結膜炎の原因ウイルスはエンテロウイルスが多くて、治療法は流行性角結膜炎と同じです。
アレルギー性結膜炎 (Allergic conjunctivitis)
アレルギー反応とは人体には、異物が体内に入り込もうとすると、それを察知して排除する免疫機能のことですす。植物の花粉のよるものは「季節性」、一方カビ、ダニ、ペットの毛、チリ、フケ、特定の食べ物などのよるものは「通年性」といっており、最近では「通年性」のアレルギー性結膜炎も多く見られます。またアレルギー性結膜炎の発症年齢が低年化していて小学生に多く見られるのも最近の傾向の一つです。症状は結膜充血、眼脂、眼瞼腫脹、目の掻痒感が主たるものです。治療は症状が軽い場合にはアレルギーを抑える点眼薬を使用しますが、症状が強い場合にはや炎症を抑えるステロイドの点眼薬、抗生物質の点眼薬などで治療します。アレルギーを起こす原因がはっきりわかっているときは、できるだけそれを避けることで、症状が軽くなります。
新生児結膜炎(Neonatal conjunctivitis)
出産直後の新生児は産道を通過する際に眼瞼周囲に擦り傷を求めることが多いので、すぐに抗生物質点眼薬を使用するのが普通です。そのため新生児結膜炎の頻度は少なくなりました。生後一習慣を過ぎて、結膜充血、眼脂を認める場合には新生児結膜炎が疑われます。多くは常在細菌による感染ですので抗生物質点眼で改善します。おおくの場合には両眼性ことがおおいです。もし片目だけに症状があったら、結膜炎の他に、新生児鼻涙道閉塞の可能性があり、この場合には小児眼科医の診察が必要となります。
結膜炎にかっかたら、日常生活で注意すること
お風呂は最後に入り浴槽のお湯は捨てる
症状がひどいうちはお風呂はがまんしてください。
洗面器は家族と別のものを使用し、使用後に熱湯をかけてください。
お風呂のお掃除もきっちりと。

別々に洗濯して日光によく干す
患者さんの衣類や枕カバー、シーツなどは、ほかの家族とは別に手洗いで洗濯してください。

目薬は患眼だけに
目薬は結膜炎のほうだけにしてください。また、点眼の前後には手をよく洗ってください。

学校はしばらくお休み
眼科医が許可するまで、学校はお休みします。

プールは医師の許可が出るまで禁止
プールは結膜炎が治ったあともしばらくは許可されません。
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